seek for sounds, step into forms...

* * * * * 色とともに生きる共感覚者から * * * * *

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

その言葉は忠実か

業が先か、名前が先か。共感覚者として常日頃考えざるを得ない問いの一つだと思う。
なぜ単なるカミングアウトだけでなく、手業と共に共感覚を証明した方が良いのだろうか。
当事者として理不尽さを感じない訳ではないが、視点を変えれば当然の論理でもあろう。
結論から言えば、私にとって共感覚はブランドではない。それに付随する経験も同様だ。
人間そのものを生き、理解する一つの側面として共感覚がある。そんな様相を見ている。

絵を描いたり、詩を詠んだり、音楽を奏でたり・・・というのは共感覚者に限らない楽しみ。
上手・下手ではなく、人間の普遍的欲求として芸術を求めることほど喜ばしい行為もない。
"共感覚"は文献で知らなくても自然に感じられるものである。ならば、知覚の先に在る
感性の振る舞い方も、自然なままで良いではないか。感覚はそれぞれに行き先を持ち、
相応しい表現方法を探すのが自分の役割なのだ、といつしか私は考えるようになった。

ある意味で、言語は共感覚者を護ることもあれば、その逆にも成り得るのではないか。
共感覚は言語そのものではなく、あくまでも感覚だ。クオリア/クワーレといった部類の
感覚質を言葉だけで説明出来るはずがない。もちろん、これは挑戦し甲斐のある話だが、
現実を生きる共感覚者が追求する根源は、単なる自己表出を超えた次元に在ると思う。
果たして共感覚は何なのか、共有出来るのか、伝わるものなのか。総て、答えはない。

そもそも、人間の感覚自体は曖昧模糊としたものであり、物体の存在と対等ではない。
自分の見聴きする世界が他者にとって同じではないからこそ、興味をそそるのだろう。
相手にどんな風に世界が見えているのか、なぜあの人はあんな行動・表現を好むのか。
そういった疎外感や悲しみがなければ、ともすると世界への疑問・怒りは生じないはず。
と同時に、それらマイナス要因こそが自分の表現活動の根源だと気付かざるを得ない。

太古の昔は全人類が共感覚者だった、との見方には私自身は少々賛同しかねるが、
何はともあれ、現代社会として共感覚者が少ないのは洋の東西問わず事実であろう。
幼少から自他の明白な違いを感じ、"なぜ?"から解放されたことのない私にすれば、
幾多の問答を風に流すだけでは生きた心地がしなかったので独りでに表現を始めた。
他者に感じられない共感覚でも絵画や造形の中の実体を否定する者はないだろう、と。

無論、疑問や思惟からではなく、純粋な感覚の表現を試みることも往々にしてある。
が、両者に共通して言えるのはボザール式のアートとは程遠いということかもしれない。
共感覚アートは学問的基盤に沿って存在するものではなく、感覚・感性ありきの事象。
どこかしら観念した上での表現であり、他者の理解・評価を得ることは目的ではない。
言うなれば、これはカミングアウトを超えたカミングアウト。ある意味では爽快な話だ。

私の経験上、「共感覚者です」と打ち明けるよりも共感覚体験に基づいたアートの方が
他者の反応が良いのは皮肉でも在るが、これはヒトの感覚の構造からすれば当然か。
言語という高度な表現媒体より、感覚そのものに訴えた方が共感覚の根源に近付ける、
これは強ち嘘でもない筈。言語を通して非言語的共感覚に辿り着くのは遠回りなのだ。
文字→色という知覚も、実際には視覚・聴覚→色と何等境目がないのは明白だろう。

もし私が誤診に遭うこともなく共感覚を認知していたら、筋書きは別物だったのか。
恐らく、"手付かずの自然"ではないにしろ表現活動の趣も何もかも違っていたと思う。
共感覚者・非共感覚者の間に跨る"感覚的パラダイムシフト"を延々と考え始めたのも
ひとえにそういった経験が活きていると感じるし、アート表現もその居場所を変えた。
一度は解体され、再び建て直される。なるほど、共感覚は名も業もなく、普遍である。

Succes in de donker
  1. 2009/08/16(日) 15:15:28|
  2. 共感覚/synaesthesia
  3. | コメント:0
<<同調ではなく洞察を | ホーム | 苦痛は宙に舞うだろうか>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

178773

Author:178773
ある共感覚者のひとりごと。

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。